建物を完成させるためには、工事用の施設や設備を設けなくてはいけません。
その工程には仮囲い、水盛り、遣り方、足場などの作業段階があります。
この仮設工事なくしては建物の完成はおぼつかないものです。
仮に市街地に、木造2階建てのローコスト住宅を新築する場合には
どういった工程が必要なのか。
またそれぞれの工事におけるローコスト化への対処方法をお伝えします。
仮設工事のローコスト化ポイント
本格的な建築工事を行う前に、仮設工事を行います。
事前準備の段階となる仮設工事を行う際に、
節約できるポイントをみていきましょう。
ローコスト住宅の工事着手前のポイント
工事の着手前には、施主はまず近隣者への挨拶回りを行います。
そして契約の後、工事に着手しますが、
その前には関係者である施主、設計者、施工者の方が
顔を揃えて挨拶をして回りましょう。
無駄なことに思う人もいるかもしれませんが、
近隣者からの苦情を減らすのにてきめんな効果があります。
工事中の職人さんに対してクレームが来ると、
工事の時間や工程などを変更しなければいけないこともあるのです。
はっきりと自分の敷地と隣家の敷地の境界が決まっていない時は、
現地で権利者同士立会いの下で、確認しきっちり確認する要があります。
境界の確認では、最悪役所の人に立ち会ってもらわなければいけないこともあります。
さらにその費用は施主が支払わなければいけません。
工事前には近隣者の挨拶と、境界部分の確認をしっかりと行いましょう。
仮囲い・地縄張り・水盛り・遣り方などについて
工事が始まったら境界線を基準に仮囲いを行いましょう。
盗難や危険の防止、そして立ち入り禁止などに効果があります。
塀があればこの仮囲いは必要がありません。
そして仮囲いの後は、地縄張りを行います。
地縄張りとは建物の形状を敷地の中へ落とし込んで確認し、
それぞれの設置物の位置を把握するために必要な工程です。
地鎮祭を行い、顔合わせをした後に、縄張りを行うことが多いです。
地縄張りの後には、さらに「水盛り」や「やり方」を行い、
基礎作りの準備を行います。
水盛りというのは、建築物の基準となる水平線を定めるための作業です。
「やり方」とは水盛りによって見定めた水平線を記すための
仮設物を設置することです。
そこに柱の芯壁の芯といった基準を記していきます。
これらの工程は基本的に1日で完了させるようにしましょう。
1日でこなせるように、天候や都合も考えつつ予定を組まないと、
余計な人件費が発生してしまうことがあります。
ローコスト住宅でも、トイレの設置はコストをかけても行わなければいけない
工事を行っている最中には職人さん達のトイレが必要になります。
よほど近くに公園でもない限りは、
自分でレンタル代金を支払って簡易トイレを設置しなければいけません。
その費用は発生してしまいますが、周囲に対する配慮として、
また職人さんに快く仕事に集中してもらうためには、当たり前のことです。
早めに設置して顰蹙(ひんしゅく)を買わないようにしましょう。
職人さんもトイレがないと、不便さを感じることが多いです。
駐車スペースの手当を考える
現場へ資材や工具類は全て施工会社の車両で搬入されます。
しかしその車を停める駐車スペースを用意するのは、実際にはコストがかかります。
理想をいえば3台の小型トラック程度を置ける場所が必要ですが、
都心では敷地内にこれほどのスペースを取れることはなかなかないでしょう。
駐車場を借りて駐車をしなければいけないところですが、
もし知り合いが一時的に土地を貸してくれる場合は、
そういった交渉頼んでみるのも一つの手です。
駐車場代もバカにならないので、打てる手はできる限り打つようにしましょう。
ローコスト住宅の工事用の電気と水道の施設
工事を進めるためには、工具類や照明を使うための電気、
さらにモルタルやコンクリートを練ったり、
清掃に使うための水が必要になります。
これらは工事見積書の中で、仮設工事の費用として工事日の電力、
水道工事費として計上されることが多いです。
建て替え工事の場合は、
既存の電気や水道を使えばいいのですが新築住宅の時には
新たに工事用の電力及び水道水の引き込み工事をしなければいけません。
コストを抑えるためには、工事見積もりの中で電気水道代を抑えるよりも、
実際に使用した料金の実費を施主が支払うようにしたほうがいいです。
無駄などんぶり勘定の見積もりは工事費が高くなる原因です。
足場の設置で節約を行う
手だけで届かない高所の作業のためには、
脚立や足場を設置する必要があります。
足場には作業の目的によって片手作業しかできない方足場、
両手で作業をするための抱き足場、さらに脚立足場、
床のある本足場などがあります。
足場の材料も、木材を組んだ丸太や
鋼板やパイプを使用した単管足場などもあります。
コストを抑えるのであれば丸太足場を組むのが一番良いのですが、
通常は繰り返し使うことが多い単管足場が、
安全面を考えてよく使われます。
工場で使うような鋼管を使った枠組み足場という安全性の高い足場もありますが、
二階建て程度の住宅であればこれほど高額な足場を用意する必要はありません。
ローコスト住宅を建てるときの周辺環境の養生や保護
周囲に迷惑をかけないためにも、
また災害を防ぐためにもネットやシートなどで養生を行わなければいけません。
ゴミやホコリが発生したり、
物が落下したりすると大変に周辺に迷惑がかかります。
防災シートは火災を防ぐ意味もありますし、
プライバシーを守るためにも役立ってくれます。
こういった養生や保護に関しては、
あらかじめ敷地調査や挨拶回りの段階で
しっかりどのような対策を行うかを考えておきましょう。
養生にかかる費用を安く抑えるためには、
養生シートとして、請負者の看板シートなどを使えば、
手間代程度の低コストをで済ませられることもあります。
また建物が完成した後、引き渡し前の清掃片付けは
基本的には最後の仕事になります。
工事の請負者が建物の内外の清掃を行う時に、
清掃業者を手配してこの作業を行うことが多いです。
ただこれらの作業には人件費が発生しますので、
人件費を抑えたい時には委託業者を使わないようにする、
もしくは自分達も手伝うといった方法が考えられます。
新築工事・建替工事の際にかかる費用について
新築工事や建替工事をする際には、さまざまな費用がかかります。
どんな費用がかかるかを知っておかないと、
「もっと調べておけばよかった」と後悔しますし、
簡単に予算オーバーをしてしまいます。
ここからは、新築工事の際の盛土代や
建替工事の際の解体工事費用について紹介します。
できる限り多くの費用を把握しておくことで、資金計画の精度も高まり、
安心して家づくりを進めていくことができますので、ぜひご覧ください。
敷地によっては盛土代がかかる
敷地が古い街道筋に接していて、
何度も道路工事をおこなっている場合は、
敷地の高さが道路よりも低くなっていることがあります。
通常、アスファルトの道路は、路床(土砂)、路盤(砂利や砂)、
基層、表層からできあがっています。
そして、アスファルト舗装をきれいにする際に
アスファルトでオーバーレーするのですが、
基層の一部が残っていると、その分だけ厚さが増してしまうのです。
そのため、舗装が繰り返されることで、
道路に接する敷地が相対的にどんどん低くなっていきます。
敷地の高さが道路よりも低くなっていると、雨水が流れ込んできますし、
風通しも悪くて湿気も溜まりやすく、
家にも居住者の健康にとってもよくありません。
建築基準法には、「敷地はこれに接する境より高くなければならず、
建築物の地盤面は、これに接する周囲の土地より高くしなければならない」
ともあります。
そのため、もし地盤の高さが足りない場合は、
敷地に盛土をおこなう必要があります。
その場合は、盛土の費用も考えておかなければなりません。
盛土の費用は、土砂の運搬から転圧までにかかる費用のことで、
運搬するトラックの種類や道路幅などによって変わってきます。
一般的に、1立法メートルあたり6,000円くらいが相場ですので、
仮に盛土をおこなう面積が30坪程であれば
約16万円の費用を見ておきましょう。
家を建てる場所によっては、盛土代も予算として考えておかないと、
予算オーバーの原因になってしまいます。
解体工事の予算も忘れないように
一部改築や増築工事もそうですが、建替工事をする場合は、
建物を壊して更地の状態に戻す解体工事が必要です。
解体工事をする際は、現場を養生シートで覆い、
ゴミやホコリが飛ばないようにします。
そして、水をまきながら重機を入れて建物を取り壊していきます。
もし、取り壊す家に、新居でも使いたい照明器具や建具などがある場合は、
事前に自ら取り外しておくか、業者に依頼して処置してもらうようしておきましょう。
もちろん、解体工事にも費用がかかります。
費用は近隣の状況や道路にもよりますが、1坪あたり3万円程度はかかってきます。
そのため、仮に建物が30坪の場合は90万円程度の予算は見ておくべきです。
また、建物を取り壊した場合は建物滅失登記をする必要があり、
手続きには4万円程かかりますので、
解体工事については約100万円の予算を確保しておく必要があります。
解体工事の費用は場合によってはもっと高いため、
工事が必要な場合は必ず事前に見積もりをとり、
予算に入れておくようにしてください。
ローコスト住宅の基礎工事
ローコスト住宅といえども、
安全性は絶対に確保しなければいけないポイントです。
建物の安全を考える上で、最も重要なのは基礎工事に手を抜かないことです。
そのためには丈夫な基礎をしっかりとした地盤の上に作ることを考えましょう。
ローコスト住宅でも基礎は外から見えないだけに、しっかりと作らなければいけない
建物自体の重さ、そして建物内の設備や家具などの重さの積載荷重は
すべて基礎を介して地盤に伝わっていきます。
建物の基礎は、建物全体を担いで地盤の上に建っているようなものです。
その為安全な家の実現のためには、
基礎と地盤にもこだわって土地探しがしたいものです。
具体的には埋土や盛土の少ない更地が、
最も強固な地盤と言えるでしょう。
木造住宅といえども基礎は普通コンクリートと鉄筋で作られており、
基礎の下には割栗石などが敷かれています。
基礎がしっかりしていても、
地盤が建物の重さに耐えるのに十分な堅牢さがないと、
建物が沈下したり傾いたりすることもあります。
そうすると屋根や壁にひび割れが、
入ったり建具の建て付けも悪くなってしまいます。
その結果最悪のケースでは、雨漏りが起きたり、
建物が傾き始めて屋根が崩れてしまうこともあるのです。
雨や風をしのぐというのは建物として最低限の機能ですが、
これすらも満たせない住宅になってしまうこともあります。
それはローコスト住宅であっても完全に失格です。
建物の性能をしっかりと満たすには、
地盤と基礎を重視しなくてはいけません。
一方で、基礎は外から見えないだけに、雑な工事が行われたり、
省略されてしまっても気づかないことがあるのです。
そのため工事中は、業者が基礎をしっかりと施工しているかを、
できるだけ確認するようにしましょう。
ローコスト住宅の基礎工事のポイント
基礎工事はまず「水盛り」「やり方」を行い、さらに「根切り」を行います。
地盤を均一にして安定させるために割栗石による作業を行い、
さらに墨出しをしていきます。
基礎工事は屋外で行う作業ですから、
天候、とくに湿度や気温に左右されがちです。
冬にコンクリートを現場で作ろうと思っても、
硬化不良を起こして十分な強度が得られないことがあります。
気温が低い時、そして雨が降っている時には
コンクリートを使う工事は避けるようにしましょう。
基礎工事の代金に材料費はそれほど含まれていません。
人工数と経費が占める割合が大半です。
職人さんの人件費が主な費用になりますが、
給料の良い腕の良い職人さんを使うことができれば、
その後の施工の不安を一気になくすことができます。
ここは多少費用を掛けるポイントと言えるでしょう。
基礎工事におけるローコスト化対策としては、
基礎の形をシンプルにすれば費用を軽減できます。
デザインに限らず、
建物の形状をシンプルにすることはローコスト化の基本とも言えます。
シンプルな形になっていればコンクリート打ちの型枠の種類も減りますし、
工事の単純化によって工程を減らすことができます。
そうなると最終的には人工数も減るため、
人件費の削減にも大きく繋がっていくのです。
基礎を作るコンクリートの量や型枠、
また材料を少なくするためには
最もシンプルな総二階建てとするのが良いでしょう。
布基礎は建物の外周と1階の居室の輪郭に設けることが多いですが、
総二階の場合は基礎をバランスよく全体にぐるりと回すことで、
無駄がなくなります。
さらに建物の荷重も総二階だと均等に基礎に伝わるため、
耐震性も高くなり耐震性をもたせるための工事も必要なくなります。
基礎工事を行うときには、
建物内の床下の防湿対策も一緒に行う必要があります。
床下の防湿をするためには、
床下全面にコンクリートを打つ方法や根切りした残土や
クッション用の山砂を盛り土していけば、
コストを安く済ませることが可能です。
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