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幅木も貼り付けるだけの業者に注意
見た目も実用性もある幅木。
良い業者であれば、床材を掘ったりするなど丁寧に施工され、隙間もなくしっかりと固定されます。また、ビスを使ってがっちりと固定することもあります。
しかし、床材を掘ることもビスを使うこともなく、驚くべき方法で幅木を取り付けてしまうケースもあり、見た目や居住性に影響を及ぼす可能性もあります。
幅木は居住者もよく目にする部分ですので、どのような手抜き施工をされるのか把握しておきましょう。
幅木を丁寧に取り付けると非常に手間がかかる
幅木は、床と壁の境目に入れる木材のことで、見た目をきれいにする他、掃除の際に雑巾や掃除機などから壁を守る役割もあります。
本来は、厚さが4cm程のしっかりと丈夫な木材を使って、床に溝を掘り、幅木の一部を入れて施工をします。こうすることで、幅木と床の間に隙間ができず、がっちりと固定ができるためです。
しかし、この方法は、非常に手間と時間がかかるため、特にローコスト住宅を建てる際には採用されることは多くありません。
ローコスト住宅では幅木に小穴をつくり長いビスで留め付ける
ローコスト住宅では、より手間のかからない方法で幅木を取り付けています。その方法とは、厚さ4cm程の木材を加工してビスで留め付ける方法です。この方法であれば、床板に溝を掘る必要がないため、手間を軽減することができます。
後々、幅木が縮んでも幅木と壁との間に隙間が空かないように、幅木の上に小穴をつくったり、床との間に隙間ができないように幅木の下の中央部分を引っ込めたりなどの加工をし、長いビスを使って根太に留めます。
手抜き業者は薄い幅木を接着剤で貼り付けるだけ
手間やコストのかかる施工を嫌がる手抜き業者は、幅木の施工も非常に簡単に済ませてしまいます。
手抜き業者は、4mm程の厚みのある木材を使うこともなく、薄い木材や木に似ている樹脂製の幅木を使用します。これらの幅木を接着剤で壁に貼り付けるのです。フィニッシュ釘を使って固定し、1日程度待って接着剤が固まったらフィニッシュ釘を抜いて完成です。
フィニッシュ釘を打っているため、幅木に小さな穴が開いてますし、接着剤なのでちょっとしたことで壊れてしまいます。
また、壁や幅木がまっすぐでないこともあるため、隙間が空いている可能性もあるなど、良いことなしです。
手抜き業者にとっては手間とコストを軽減できる施工方法なのですが、住む人にとっては、耐久性も怪しく穴や隙間がある可能性もあるなど最悪な幅木となってしまいます。
見栄えも良くなる廻り縁を省略!家を建てる際は手抜き業者に気をつけて
廻り縁があるかないかで、部屋の見栄えや印象も変わってきます。良い施工業者が家を建てる場合は何の心配もいりませんが、手抜き業者が家を建てる場合は平気で廻り縁を省略し、いい加減な施工をするため注意が必要です。
ここでは、良い業者と手抜き業者の廻り縁・入隅部分の施工の違いについて確認していきましょう。比較的、目に留まる部分でもあるため、手抜き業者がどのような手口を取っているのか知ることは非常に大事です。
良い施工業者は廻り縁を取り付けたあとに天井を被せる
天井と壁の入隅には、廻り縁と言われる見切り材を取り付け、きれいに見えるようにします。
廻り縁を取り付けることで、きれいに収まるだけでなく、材料の加工や現場の取り付け誤差がわかりずらくなるメリットもあるため、見た目的には廻り縁は取り付けるに越したことはありません。
しかし、廻り縁の取り付けには手間と時間とお金がかかるため、手抜き業者は廻り縁を取り付けることを嫌がります。
丁寧な仕事をする良い施工業者の場合は、廻り縁を壁に取りつけて、しっかりと釘留めをして固定します。そして、釘留めしたうえで天井を被せて施工するため、あとから釘が見えることもありません。
また、手間を軽減するために、天井と壁を取り付けた後に既製品の廻り縁を接着剤と釘で取り付ける場合もあります。あえてこの方法をするメリットとしては、手間の軽減と廻り縁を豊富なデザインから選べることです。
既製品の廻り縁は、意外に凝ったデザインのものが多く、さまざまな種類から選ぶことができます。
手抜き業者は廻り縁の取り付けもせず、施工もいい加減
仕事が丁寧な良い業者の場合は、廻り縁が取り付けられます。しかし、手抜き業者の場合は面倒な仕事やお金のかかる仕事を嫌がるため、廻り縁の取り付けをしません。
入隅部分に下地となるボードの隙間があったとしても壁紙かシーリング材でふさぐだけですし、壁や天井にビニルクロスを貼るだけで留めてしまい完了させる場合もあります。「どうせ居住者はなにもわからない」といい加減な考え方で仕事をしているため、このような手抜きを至るところでおこないます。
廻り縁がないため、見た目もよくありませんし、下地のボード同士の隙間も壁紙やシーリング材でふさいでいるだけですので、壁の強度や家の耐久性など、さまざまな問題が生じる可能性があります。
施工が良い業者であれば問題ありませんが、手抜き業者だった場合は最悪です。既にローコストで家を建てた後の場合は、廻り縁の有無や入隅部分の施工を見てみましょう。
現在は鉋を使う機会もなくなった
大工さんと聞いて、ノコギリや鉋(かんな)をイメージする人も少なくないのではないでしょうか。実は、現在大工さんはこれらの道具をほとんど現場で使用することはありません。
ここでは、なぜ造作材の鉋(かんな)が不要になり、どのような材料が使われているのかなどを紹介しています。
多くの木材が仕上がって現場に入るため大工さんは鉋も使わない
昔と比べ、大工さんが現場で鉋(かんな)などの刃物を使用する機会は格段に減りました。昔は、現場で木を切り削って組み立てをしていましたが、現在は既にできあがった木材が現場に届くためです。
柱は薄い木を貼り付けているため削る必要がありませんし、他の造作材も木のくずを糊で固めて表面に化粧シートを貼ったものや既に仕上がっているものを取り付けるだけなので、大工さんが鉋(かんな)を使う場面はありません。
また、以前はフローリング材=ムク材と決まっていましたが、現在では、木を貼り合わせてつくった複合フローリングが普及したため、ムク材の縁甲板のことを単層フローリングと呼ぶようになりました。
そんなフローリングの代名詞的存在であるムク材に関しても、以前は現場で大工さんが鉋などを使って仕上げるのがあたりまえでしたが、今では現場に仕上がった状態で入ってくるため、大工さんが鉋(かんな)を使うこともありません。
合板に木目を印刷したシートなどを貼った木材が普及
元々は、和室の天井や長押に使用する木材が非常に凝ったものを求められる反面、原料となる木が枯渇して価値が高くなったため、合板を下地にして突き板を表面に貼った木材や、木目を印刷したシートを貼った木材が普及し始めました。
以前は、シートや薄くした木を貼る際に良い糊がなく、染み出して汚くなることもありましたが、現在では糊の質も良いため染み出すことなくきれいに貼ることができます。
もちろん、天井板や長押部分を本物のムク材でつくることもできますが、非常にコストが高く、1部屋の材料費で数百万円かかることも珍しくありません。
しかし、現在であれば、価値の高い貴重な木材も薄く削いで使用するため、ある程度コストを抑えて立派な雰囲気の部屋をつくることが可能です。
既に仕上がった木材が現場へ入るため取り付けは以前よりも簡単に
大工さんは、以前は現場で木材を1本1本確かめ、癖などを読み、現場で慎重に木材を仕上げて施工していました。
しかし、現在は見た目が「本物っぽい」木材が普及したことで、そうしたことを気にする必要もなく、カタログを見て品番を指定し、できあがった木材がそのまま現場に入ってきます。
そのため、現場でも仕上がった木材を取り付けるだけで済みますし、建付けなども以前ほど気にしなくてもきれいに納まるようになりました。
ローコスト住宅の敷居や鴨居、窓枠やドア枠の固定具合を確認
敷居や鴨居、窓枠やドア枠などもしっかりと固定されていない場合、後々、さまざまな不具合が生じる可能性があります。引き戸が動かなくなったり外れたりするなど、使いものになりません。
ここでは、敷居や鴨居、窓枠やドア枠の手抜き施工について紹介しています。少しでも多く手抜きの実態を知り、良い業者に施工してもらう重要性を確認しましょう。
敷居や鴨居はしっかりと固定しないと不具合が生じる
ローコスト住宅や注文住宅など、床や天井、壁などの下地以外で、家ができあがった際に人目に触れる木材のことを造作材といいます。
また、造作材の中でも、和室などの柱の間に入れる長押や敷居、鴨居などの木材のことを内法材と呼ぶ場合もあります。
敷居・鴨居は、ともに引き戸などの建具を滑らせるための溝が加工されており、対になっています。
造作材は気をつけないと、動いたり変形した場合に、仕上げ材との間に隙間が空いてしまいます。隙間が空くことで、建具が円滑に動かなくなるなどのさまざまな不具合が生じるため、しっかりと固定しなければなりません。
仮に、敷居が下がると建具が外れることもありますし、敷居が上がると建具が動かなくなってしまう可能性もあります。敷居や鴨居がしっかりと固定されていれば問題ありませんが、固定されていない場合は、建付けが悪くなったり隙間ができてしまいます。
敷居や鴨居は、柱に取り付ける際に目違いを加工してつくり出すなどして、しっかりと動かないように固定します。目違いではなく、別の木材を使って目違いのような形をつくり、柱に固定する場合もあります。
良い業者は、居住者や家のことを考えて丁寧に施工し、しっかりと固定してくれるため安心です。
手抜き業者は目違いなどもつくらず、釘やビスで留めるだけ
もちろん、このような留め方ではしっかりと固定ができないため、すぐにさまざまな不具合が生じてしまいます。
窓枠やドア枠も必要な加工・組みはせず、ビス留めだけ
手抜き業者が手抜きするのは、敷居や鴨居の取り付けだけではありません。窓枠やドア枠でも平気で手抜き作業をします。
長く安心して住んでいくために必要な施工です。「手間がかかる、どうせ見えなくなる」と手抜きをするような業者には任せたくないですね。すぐに家のあちこちが傷むため、後々の修繕費が非常に高くかかってしまいます。
長押の加工や木口処理の必要性を確認
「長押」と聞いて何のことかわかりますか?恐らく多くの人がわからないはずです。手抜き業者は、居住者が専門的知識を持ち合わせていないことを良いことに、「見られてもバレないだろう」と、本来必要な複雑な加工や処理を省いてしまいます。
和室のある家を建てる予定の方は、業者が適正な施工を行っているか確認するためにも、長押について勉強しておきましょう。
手抜き業者は長押の加工や処理もいい加減
きっちりとした和室の内法には、鴨居の上につけた板である長押が回されていることがあります。
ただし、昔のようにムク材の長押を使用することはほとんどなくなっており、スギやヒノキを材料とした突き板を集成材に張ったものが使われることが多いです。ムク材の長押よりもコストも安く、見た目もきれい(木目が揃っている)だからです。
長押は、本来であれば雛留めなどの複雑な加工をするため、木口処理に手間と時間がかかります。
しかし、手抜き業者は、「時間をかけてこのような加工・処理をしても仕方がない」と考え、いい加減な仕事をするのです。雛留めもせず切りっ放しの木材の木口にテープを貼ったり、同じ木材の薄板を付けることで木口を隠します。
「どうせこんな細かい部分は居住者は気づかない」という考えでこのような施工をするため、非常にタチが悪いです。
手抜き業者はとことん手を抜く・・・
既に仕上がった状態で木材が現場に入り、以前よりも取り付けなども簡単になったにも関わらず、それでも手抜き業者はいろんな部分で手抜きをしてきます。
施工に関して極力コストをかけないようにしますし、面倒な作業はすべて省こうとします。住む人や家のことよりも、自分たちの儲けのことしか考えていないため、非常にタチが悪いです。
確かに、昔に比べると、大工さんも鉋などを使う機会が減り、本物の木材を扱うことも少なくなったため、木の扱い方や技術は落ちている可能性もあります。しかし、真剣に仕事と向き合う良い施工業者はたくさんあり、そういった業者の大工さんは丁寧な仕事をしてくれます。
手抜き業者に関しては、技術がないうえに、いい加減な考え方で仕事に真剣に向き合わず、とことん手を抜くのです。
特に、ローコストの家を建てる際に注意しなければなりませんが、マイホームは一生で最も高い買い物ですので、手抜き業者にあたらないように注意しましょう。
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