建築工事の施工は、基本的には全行程を一括して請け負うタイプの、
一括請負工事が多くなっています。
こうやって一括して請け負った工事を工期通りに完成させ、
更に予算の中でやりくりして適正な利潤をあげられなければ、
施工会社はいずれ倒産してしまいます。
しかし、倒産しない程度に、
企業努力をもってローコスト住宅を提供している工務店やメーカーもあります。
ただし、安かろう悪かろう、という家を建ててしまわないように、
家を建てる前に、建築の流れについて知っておくことをおすすめします。
この記事では、基礎工事の後に行う、木工事、屋根工事、外壁工事の流れについて
ローコスト化に重点を置いた解説をしています。
ローコスト住宅の木工事
木工事といえば、家を建てるうえで最も時間と労力がかかる工程です。
さらに、木工事の良し悪しは、
家の強さ、外観、住みやすさを大きく左右します。
施工業者や大工にまかせっきりにせず、
これから家を建てる予定の方は、
良い家を建てるための知識として
おおまかな流れをつかんでおくと良いでしょう。
ローコスト住宅の建物のグレードとは
この一括請負工事代金の木工事代は、なんと1/3を占めることが多いです。
その内訳は木材、人工代などが当てられています。
坪当たりの人工数というのは最高級の建築物では20人から30人、
手の込んだ純和風建築の建築物では10人から15人程度。
そして一般的な住宅では2~3人というところです。
建物のグレート次第で比較にならないぐらい人工数は変わってきます。
さらに住宅の中でもいくつかにランク分けされており、
建売住宅が最も人工数が少なく、
一般住宅、高級住宅の順番で人工数が多くなっていきます。
また建物のグレードを判別する方法の一つの目安として、
屋根材料を参考にすることが多いです。
グレードの低いものからカラー鉄板、瓦、セメント板瓦、
日本瓦、銅板瓦、天然スレート板といった順番になっています。
大工の手間がかかるほど上等な建物とみなされ、
また上等な建物になるほど、よく乾燥した木材つまり、
高級な材料を用いることが多いです。
そしてさらに高級な材料を使う工事には大工の腕もそれなりのものが必要とされるので、
一人当たりの人件費も高くなっていきます。
ローコスト住宅の木工事における大工の役割とは
大工の能力の一つに、与えられた図面の意図を読み取る能力があります。
もちろん期限内に建物を完成させるための手順や要領の良さ、
決断力も持っていなければいけません。
木工事は工事期間の中でも特に時間をかける作業であり
現場での作業が多いだけではなく他の職種との絡みも多くなっています。
それだけに工事期間にも大きく影響してくるのです。
壁下地が終わらなければ、左官屋が砂壁を作業できませんし、
建具担当は寸法をとることもできません。
大工というのはいわば他の職種を取りまとめる先導役であり、
丁寧に仕事をしながら納期までに無事引渡しをしなければいけないのです。
ローコスト住宅を予算通り実現できるかどうかは、
大工の要領と腕に大きく依存すると言えるでしょう。
ローコスト化するための大工の役割とは
木工事作業をローコストにするためのポイントとしては
木材の質と大工の手間をかけないようにすることです。
これは料理に例えるのであれば、安い肉をいかに上手に料理して、
美味しく食べられるかということに例えられるでしょう。
つまり、コストが安いけれど、施工しやすく、
また施工によって良さを引き出せる木材を
見抜く目を持っている大工が重宝されるのです。
木材、特に柱の価格は質の低いものと高いもの比べると
10倍もの差があることがあります。
その構造的な機能は同じであるはずなのに、
見栄えの部分だけで、これだけ変わってくるのです。
コストを抑えるためには、安い材料を仕入れて
高級な材料に見劣りしないようにうまく使う、
もしくは加工をしていけばいいのです。
ローコスト住宅を実現するためには、材料も重要ですが、
大工の手間や知恵が必要とされているのです。
ローコスト住宅の場合、坪あたりにつける人工数は多くても3人程度です。
そこで人件費は少し高めでも良いので、
腕の立つ大工を用意してもらえば、
安い材料でも最低限の質は十分に確保ができます。
腕の立つ大工がいれば木工事だけではなく、
建具の建て付けも上手に行ってくれるので、
工程の削減に影響してくるでしょう。
ローコスト住宅における安くて質の良い木材の選び方
ローコスト住宅を建てるときの、木材の選定の目安はいくつかあります。
木材は構造体と同素材というものに分けられますが
両者に共通するポイントは以下のものを見ておきましょう。
- 定借ものを使用する
- 木材の使用は一等品程度でも十分である
- 金券の材料を使う
- 木の種類は少なくする
- 同じサイズの材料を多量に用いる
- 手間のかからない無垢材を基本的に使う
こうした材料の個性を活かしていくためには、
化粧をしない生地仕上げが一番と言えます。
あまり塗装をしすぎると、木材固有の風合いの良さが失われますし、
塗料は剥げるものです。
構造材に用いる材料は、見た目よりも安さと丈夫さを重視するようにしましょう。
木材選びにもいくつかのポイントがあります。
- 土台には水や湿気に耐性のあるひのきやヒバ材を選ぶ
- 小屋梁には安くて上手な丈夫な近県で取れた松の丸太類、また安くて大きな断面を確保できる米松などを探す
- 柱は杉で十分である。主要な柱には年輪を持つ心持材を使う
- 鼻隠しは檜の一等品などを使う
- 階段は米松もしくはラワンを使う
- フローリングにはよく乾燥させ、近県でとれた材料を使う
こういったポイントを押さえておけば、
材料選びでもコストを抑えることができるでしょう
ローコスト住宅の施工のポイント
材料での良いものを選んでも施工次第で良さを失ってしまうこともあります。
ローコスト住宅の施工のポイントも簡単に整理してみましょう。
- 構造材はしっかりとした骨組みができる大工に行ってもらう
- あまり行く気やから物をあてにせず丈夫な建物を作れる腕を持って大工を探す
- 手間のかかる動作工事は極力控えるようにする
- プレカットした材料を使う
工場で予め継手や仕口といった手のかかる部分を加工してあるプレカット材料であればこうきを急ぐ場合やプレハブ金が大変有効な木材となっています。人手不足にも対応できるのでプレカット材を使えばそのままローコスト化につながります。 - メンテナンスフリー状態にできるように考えている。
住宅の維持コストも将来的には大きな出費になってきます。
メンテナンスフリーの住宅を建てられれば、
ランニングコストのローコスト化も可能になります。
ローコスト住宅の屋根工事
住宅にとって屋根とは
最も基本的な雨露をしのぐという役割を担っている重要な設備です。
屋根工事の手抜きは、
住宅の機能を大きく損なってしまうので注意をしましょう。
屋根工事と外壁工事は共通点が多い
人間の格好に例えれば、外壁は風を防ぐコート。
そして屋根は傘に当たるでしょう。
しかし住宅の屋根というものは傘と事なり、受注生産が基本です。
一棟一棟現場で作られるものとなっているため、
それぞれの住宅に適した専用の傘が必要になってくると言えます。
屋根と外壁は住宅が存在している期間、
ずっと寿命の限り自然の風雨にさらされます。
そのため美観にこだわるだけではなく、
長い目で見て維持管理がしやすい作りにしなければいけません。
ローコスト住宅を考える上では、
屋根はできるだけ単純な形態にすることがベストと言えるでしょう。
単純な形状の屋根は面積が少なく済むので、
工事費を下げることにもつながります。これは外壁にも共通する考え方です。
そして屋根と外壁を同じ職種で施工できる仕上げ材料とすることで、
工程をより単純化・省力化できます。
この点はローコスト化に大きく影響してきます。例えば・・・
- 左官屋に瓦屋根と外壁を同時に左官仕上げしてもらう
- 板金屋に屋根と外壁を同時に金属仕上げしてもらう
- 着色した金属板波形ストレート屋根を用いた屋根と、外壁工事を同時に行う
こういった工夫をすれば、工程と人件費の削減が可能なのです。
ローコストで屋根工事をする際の注意点
ローコストで屋根工事をする場合には、以下のような件に気をつけなければいけません。
- 屋根は勾配がなだらかなほどほど地上から見えにくくなり、ボリューム感が乏しくなって貧弱な印象を見た時に与える
- 外壁は面積が広くなるほど、目の前の立ちはだかるような印象で目立つようになる
- 金属材料に着色すると、安価で仕上げられるが、定期的に塗装しなければいけない。触って粉が付着してきたら塗り替えの時期が来ていると考えられる。5年程度で塗り替えを行う。
- 金属折板、波型大型スレートは安価で、垂木を省略することができる
こういった点を配慮すれば、機能性を保ちつつ、屋根に掛けるコストを削減できます。
ローコスト住宅の板金工事
ローコスト住宅に限らず、住宅には木材だけではなく様々な建材を用います。
アルミ、銅、ステンレスといった板金を使うポイントも多いでしょう。
主にカラー鉄板による屋根葺や樋類の取り付け、
雨押え、水切りといった施工が板金を使うポイントとなってきます。
また外壁工事でも金属板を使うことがあります。
ローコスト住宅で板金工事を行うこと
樋(とい)は屋根に降った雨水を集め、
地上に排出するための通路になっています。
そして雨じまいは水の重力による流れを利用して、
速やかに排水して家の中への漏水を防いでいきます。
この雨じまいが腐食するようだと、
木で作った部分が腐ってしまうので、板金工事を行います。
つまりここは家を守る意味で、
基礎工事と同様に重要な住宅の寿命を左右するポイントとなっています。
まさに板金なくして建築はないと言えるでしょう。
雨水の排水を一定に引き受ける板金工事は、
地味ではありますが手抜きができないポイントです。
仮に施工で手抜き工事をしてしまうと、
雨が降ればすぐにその機能性の悪さが露見してくるでしょう。
手間がかかるポイントになるため、
材料費はそれほどかかりませんが樋、雨押え、
水切りなどの工事は工事費の大半を人工費が占めることになります。
ローコスト住宅で有効な雨水対策
雨水に対する効果的な防御方法として、
雨合羽のように建物を被ってしまうという工事があります。
実際に行う人はあまり多くありませんが、
この工事は板金工事のみで可能です。
そのため、一つの職人だけで工事ができるというポイントがあり、
施工性が高く工期を大変短くできるのです。
もし排水対策を入念に行いたいのであれば、
こういった板金工事をしてみるのも良いでしょう。
とにかく素材をシンプル、施工をシンプル、人工数を少なくすれば、
一見複雑そうに見えても十分にコストを抑えることが可能なのです。
ローコスト住宅の外壁工事
住宅には外壁と内壁があります。
外壁は常に外の空気にさらされるので、
内壁よりも高度な断熱性能を持っていなければいけません。
ローコストながらも十分な性能を持つ外壁を取り入れるには、
どうしたら良いでしょうか。
ローコスト住宅の外壁の考え方
まず外壁は直立している屋根と同等のものと考えます。
外壁は常に自然環境である、風、雨、雪にさらされます。
さらには音や火災、地震や台風などの猛威に耐える必要があります。
そのため機能的には・・・
- 構造体の一部として自身が地震や風圧に対抗する耐力を持っていなければいけない
- 雨水、積雪、騒音、外気からの冷熱などを遮断しなければいけない
といった性能を満たすことが重要になります。
そのため外壁工事では、耐久性に対する配慮が不可欠です。
屋根工事と同じ考え方になりますが、屋根と外壁の大きな違いには、
降ってきた雨水が地上に至るまでの時間の長短があります。
屋根材は基本的に外壁材としても使用することができるので、
屋根と外壁の素材を同一のものにしましょう。
そして同じ大工に施工してもらうことで、
人件費や工程を削減できます。
特に防水性能にこだわって、
外壁の材料には衝突や傷で壊れたりしにくいものを選ぶようにしましょう。
ローコスト住宅の外壁工事の注意点
外壁は機能面を重視しがちですが、
家の外観を大きくする左右するポイントでもあります。
外壁の材質の選び方次第で、
建物全体のグレードがほぼ決まってしまうとも言えるでしょう。
外壁の工事費はその材料の単価と壁を張っていく面積により変わってくるので、
シンプルな平面にすればコストダウン可能です。
外壁に必要な面積が減り、
施工も容易になるため、工事費を全体的に下げられます。
見た目をシンプルにする一方で、建物の材質はグレードに直結する要素であるため、
ただ安ければ良いというわけではありません。
外壁が自然条件に応じて実用的な性能を持ち、
かつメンテナンスが容易な建材を選ぶようにしましょう。
具体的にはフレキシブルボードやサイディングなどを外壁の素材を使うと、
機能性も高く、施工も容易であり、後々のメンテナンスにも手間がかかりません。
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