良い大工さん、施工業者は見えないところにこそ力を注ぎ、機能面や耐久性に気を使って仕事をします。その点は、ローコスト住宅だからと妥協をする必要はありません。安全で長く住める家は、ローコスト住宅であっても、必ず備えていなければいけない条件です。
では、良いローコスト住宅を建てるには、まず何をすればよいのでしょうか。
答えは、信頼できる業者を見つけることです。
この記事では、良い業者を見つけるために、建築途中の現場で確認できる施工のチェックポイントを紹介しています。依頼を検討しているメーカー、工務店さんが手掛ける建築現場を見学するなどして、確認しておきましょう。
例えば、「住宅を安く提供しているけど、手間暇や材料の質は手を抜かない」という業者さんが理想ですね。そういう業者さんは、広告費にあまりお金をかけないので、自分で情報を集める必要があります。
目次
家を建てる際に断熱材をいい加減に施工する業者に注意!
本来、断熱材は家の中を快適にして、長く安心して住むために必要なものです。良い業者であれば、断熱材の効果を最大限発揮させるため、しっかりと丁寧に骨組みに入れていきます。
しかし、正しい施工を行わないと断熱効果が見込めないばかりか、家に悪影響をもたらすことさえあります。
ここでは、断熱材における手抜き業者の問題の手口や施工方法について紹介しています。
断熱材の施工方法でで、家の寿命まで変わってきますので、建築現場をチェックしたり、依頼前にどのような施工を行っているのか住宅メーカーや工務店に確認してみましょう。
断熱材は使い方を間違うと家に悪い影響を与えることもある
断熱材は、発泡ガラス、グラスウール、ロックウール、セルロースファイバー、ポリエステルファイバー、フェノール樹脂発泡体、硬質ウレタンファームなど、他にもさまざまな種類があります。
近年では、断熱材の施工方法や厚さの基準が品確法や住宅金融公庫の仕様書でも細かく規定されるようになっています。
断熱材は製品自体の性能がどれだけ高くても、隙間なく入れていかないと効果を発揮できません。場合によっては、効果が発揮できないどころか逆に断熱材を使用することで悪くなってしまいます。
もし、そのようなことになると、結露によって壁の中に水分が溜まってしまい、木材が腐る原因になります。老朽化を防ぎ、家の強度を維持するためには正しく断熱材を入れていくことが大事です。
断熱材を骨組みにしっかりと入れない
上記のように、断熱材はしっかりと骨組みの中に隙間なく入れないと効果は発揮できません。しかし、隙間なく入れることは簡単な作業ではありません。
そのため、良い業者は多少面倒に感じるこれらの作業も丁寧におこないしっかりと隙間なく断熱材を入れていきます。
隙間があった場合は、断熱材の効果が下がるだけでなく、家の老朽化を早めてしまいます。
間柱の内側に留め付けるだけ
グラスウールの断熱材は、素材が柔らかいため、ただ詰め込んだだけでは形状がすぐに崩れてしまいます。そのため、断熱材の袋の端に付いている留め代を間柱に留めて崩れないようにします。
防湿層が壁をしっかりと覆うために、留め代を間柱に被せて打つのが一般的なのですが、間柱の内側に留め付けるだけで終わらせてしまいます。
断熱材の上下がだれていないか
断熱材は間柱の間隔に合うようにつくられているため、横方向には隙間は空きませんが、縦方向については長さが足りないことがあります。
もし、縦方向の長さが足りない場合は、突き付けて継ぎ足さなければなりません。そのため、きちんと丁寧に施工していないと、だれて隙間ができてしまいます。
雨に濡れた断熱材をそのまま使用すると老朽化を早める
中には、外側の外壁工事の前に断熱材を入れてしまうこともあります。もちろん、外壁工事の前段階なので、雨が降れば断熱材が水分を吸ってだれてしまいます。
通常であれば、このようなことはしませんし、仮にこのようなことになれば断熱材を取り替えたりするものです。
しかし、水分を吸った断熱材も「時間が経てば乾くだろう」とそのままにして工事を進めていくとんでもない業者も存在します。断熱材は乾くことなく、材質を痛めてしまう原因になり老朽化を早め、耐震性や耐久性に問題が生じる恐れがあります。
いい加減に断熱材を入れられるとどうなるか
どんなに断熱性の高い断熱材を使っていても施工がいい加減で隙間ができるような施工だと、高い断熱効果は期待できません。家の老朽化を早めてしまう原因にもなります。
フローリングの家を建てる際に重要な捨張りも薄くしてコストダウン?
ローコストの注文住宅など、現代の住宅は床材をフローリングにするケースが圧倒的に多いです。
コスト削減のために、フローリングの床の強度補強をする捨張り材を薄く削ったり、2階床組みにコンパネなどの安い材を使用する業者に注意してください。
このような手抜きをされると、家の強度にも問題が出ますし、修繕費用も高くかかってしまいます。ここでは、フローリング施工の業者をチェックするときに注意すべき点を紹介します。
フローリングの下に補強のために張る「捨張り」
一般的に、床をフローリング仕上げする際には、ムク板や合板を使って捨張りをします。
捨張りとは、フローリングのたわみや歪みを減らすために床の強度補強に使う板のことです。捨張りをすることで、床鳴りの予防にもなります。
基本的には、厚さ12mm程度の合板や15mm程度のムク板を使用し、仕上げ材の下に捨張りとして張ります。耐久性など安全面を考えるとムク板の方が適しているのですが、ムク板は平面精度を出すのが容易ではないため、合板が使われることが多いようです。
捨張りを薄くするとどうなるか
フローリングのたわみや歪みを減らし、床鳴りの予防にもなる大切な捨張りですが、手抜き業者はここでも平気で手を抜いてしまいます。
「どうせ捨張りはフローリングの下だから居住者には見えない」「材料費を少しでも抑えて儲けを大きくしたい」など、いい加減な考えで作業をするのです。
具体的には、コストを抑えるために、捨張りに使用する合板の厚さを3mm程度薄くしてしまいます。わずか3mm薄くするだけで、合板1枚あたり300円前後コストを下げることが可能です。
しかし、捨張りは薄くなることで、本来必要とされる強度には達しませんし、床鳴りの予防効果もあまり期待できなくなります。
手抜き業者は少しでも儲けを出すために、見積もりで計上したものよりも薄く仕上げて、強度などそっちのけで手抜き工事をおこないます。
2階の床にも平気でコンパネやラーチ合板を使用してお金を浮かせる
2階の床の骨組みには、床を補強するための火打ち梁という部材があります。火打ち梁を使用することで、床に歪みが生じにくくなるため、以前はあたりまえのように用いられていました。
しかし、現在では、住宅金融公庫の仕様書に定められている基準を満たした構造用合板を使用すれば、十分耐久性もあるため火打ち梁は使用しなくてもいいことになっています。
その分、構造用合板でしっかりと強度を出す必要があるのです。
さすがに構造用合板を省いてしまうと非常に大きな問題になりますが、強度よりもコストを抑えることに注力する業者は、コンパネやラーチ合板という針葉樹の構造用合板を用います。
コンパネもラーチ合板も必要な基準を満たしておらず、「ただ安いから」という理由だけでも使用されます。特に、コンパネはコンクリートの型枠をつくる際に使用されるもので、一時的な強度の保証しかできません。
それを2階の床に使用するとは、考えるだけでも恐ろしいことですし、普通じゃありえないことです。
しかし、利益重視で顧客(家に住む人)のことを考えない業者も世の中には存在しています。そんな悪質な業者にあたってしまう可能性は往々にしてあるのです。
左官仕上げをチェック!ローコスト住宅のモルタル塗り・吹付けの外壁
家を建てる際、外壁をサイディング張りにするときも手抜きやミスには注意しなければなりませんが、モルタル塗り・吹付けの外壁の際も注意が必要です。必要な重ね塗りも面倒だからと省いてしまと、外壁にたくさんのひび割れが発生してしまいます。
ここでは、左官仕上げの重要さや手抜き業者の手口について紹介しています。これから建てる住宅の外壁をモルタル塗り・吹付けで考えている人は、被害に遭わないためにも、左官仕上げのチェックポイントを把握しておきましょう。
外壁はサイディングが主流。左官仕事は手間と時間がかかる
現在、ローコストで買える建売住宅や注文住宅など、多くの家でサイディングの外壁となっています。以前は、モルタル塗り・吹付け仕上げが主流だったため、あたりまえのように左官工事がおこなわれていました。
しかし、左官の仕事は非常に手間と時間がかかり、家を建てる際の工期も長くなることから、現在はほとんどなくなり、代わりにサイディング張りの外壁が主流です。
下地のモルタル塗りをしっかりとすることが大事
外壁はサイディングが主流になり、左官工事はほとんどなくなったとはいえ、まったくないわけではありません。住宅によってはモルタル塗り・吹付け仕上げの外壁にする場合もあるためです。
もし、モルタル塗り・吹付け仕上げにする場合、下地であるモルタル塗りがどれだけ上手くでき、ひび割れをいかに少なくできるかがとても重要になります。
モルタルは固まる際にひび割れするため、ひび割れを出し切るために何層かに時間を置いて、割れを埋めるように重ね塗りをするのです。そうして、ひび割れを予防します。
手抜き業者はひび割れを出し切ることもしない
本来であれば、上記のようにしっかりと時間をかけてモルタル塗りを何層もおこない、ひび割れを出し切らなければなりません。なぜなら、下地のひび割れが仕上げに大きく影響するからです。
しかし、面倒な作業を嫌がる手抜き業者は、これらの作業もいい加減にしてしまいます。手抜き業者がモルタル塗り・吹付け仕上げをする際は、時間がないからといって、ひび割れを出し切る作業を省いてしまうのです。これらの手間を省くことで、吹付けをおこなった後に多くのひび割れが発生してしまいます。
新しい家なのに、外壁はひび割れが目立つようになり、水が家の内部に入り込む可能性もありますし、後々、家の耐久性や耐震性に問題が生じる可能性もあります。
このような場合、モルタルがひび割れしても、弾性シリンなどの塗料を吹付けて亀裂が見えないようにすることも可能です。しかし、コストがかかるため、手抜き業者はこれすらも省いてしまいます。
良い施工業者が家を建てる際は、モルタル塗り・吹付けの外壁でもきれいに仕上がりますが、手抜き業者が施工する場合は、ひび割れも目立ち見た目も良くないため住む人は本当につらい思いをします。
マイホームは高い買い物であり、長く付き合っていくものですので、このような業者に出会わないように気をつけましょう。
塗装で健康に害を与える可能性もある
下処理をせずに塗料を塗ったり、重ね塗りが必要なのに1度で終わらせたり、外部で使った塗料をもったいないからと室内にも使ったりする業者は、かなりの手抜き業者といえます。
ここでは、塗装の際の手抜き作業について紹介しています。良い業者と手抜き業者を見分けるためにも、問題になる塗装をチェックするためのポイントをしっかりと把握をしましょう。そうすることで良い業者との区別もつきやすくなります。
塗装の下処理も省略するとどうなるか
塗装をする際は、下処理用の塗り材であるシーラーを塗ったり、紙やすりなどで表面の凸凹をきれいに直したりします。なぜなら、下地が汚れたり荒れていると塗装をする際、塗料の乗りが悪くなるためです。
塗装は非常に大事な作業で、材料を汚れや紫外線、雨風から守るため耐久性の向上につながりますし、見た目も良くなり、個性豊かな家づくりもできます。
塗料によっては下処理をしていなくても、それらしく見えますが、時間が経つと、やはり大きな差が生じます。
重ね塗りが必要な場合でも1回塗っただけで済ませてしまう
塗装の際、1回塗るだけでなく、材料にしっかりと染み込ませるために重ね塗りをするのが一般的です。図面にも「2回塗り」など、何回塗るか丁寧に指示がされています。
外部で使用した塗料をそのまま内装にも使用してはいけない
通常、ある現場で余った塗料を他の現場で使うことはそうありません。
たとえば、外部に使用して余った塗料を、「同じ色だから」という理由だけで内装にも使用したりはせず、別の種類の塗料を使用します。
手抜き業者は他の塗料を使うよりも同じ塗料を使った方がコストを抑えられるため、「色が同じだからバレない」と考えて、余った塗料をそのまま内装にも使ってしまうのです。
外部に使用する防腐塗料は臭いがきついものもありますし、なかには防腐効果を高めるために劇薬に近いものもあります。そのため、これらの塗料を内装に使うと、住む人の健康を害する原因にもなりかねません。
手抜き業者は、住む人や家のことよりも、いかに手間・時間・コストを抑えて効率よく儲けるかしか考えていないため、平気でこのような手抜きの施工をおこなうのです。
塗装の手抜きは健康にも影響が出るため注意が必要
塗装一つとっても、良い業者と手抜き業者で作業内容がまったく違い、できあがりにも大きな差が生まれます。また、塗装の手抜きは、見た目が悪くなるだけでなく、住む人の健康にも害を与える可能性があるため注意が必要です。
手抜き業者の手抜き内容はしっかりと把握したうえで、ローコストの注文住宅などを建てる際は、口コミや紹介制度を利用して、信頼できる業者に依頼するようにしましょう。複数社から資料をもらい、比較することも大事です。
手抜き業者がマイホームを担当した場合は、見た目は良くてもすぐに壊れたり、健康に悪影響が出るような家になってしまうことがないよう、くれぐれも依頼する業者選びは慎重に行いましょう。
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