住宅の内装は住む人にとって満足できるかできないかで、
コストは大きく変わってきます。
ローコスト化を図るにはどういったポイントを押さえて行けば良いのでしょうか。
部屋を形作る基本となる床工事のローコストポイント
ローコスト住宅を建てようと考えている方は、
床材を安く済ませようとお考えの方が多いと思いますが、
和室、洋室など部屋の仕様によっても費用の削減ポイントが変わってくるので、
予め部屋の種類から検討するようにしましょう。
ローコスト住宅の床工事
まず床として最低限満たさなければいけない条件は、
床にかかる荷重を支え衝撃を抑えるというところです。
そして床の表面は平らでなめらか、
汚れが目立ちにくい素材であることが求められます。
固すぎず、柔らかすぎず、足の踏み心地が良いことが要求されてきます。
床に用いる材料としては、耐久性耐摩耗性があり感触が良いものを選びましょう。
段差のある床にしてしまうと、立ったり座ったりの動作が、
高齢になると腰に対する負担を与えます。
玄関や浴室トイレなど、
どうしても段差ができてしまう場所には手すりを設け、
腰にかかる負担を減らすようにしましょう。
家にお年寄りや体の不自由な方がいる場合は絶対に考慮すべきポイントです。
そこでコストを抑えていくためにはどうしたらいいのか、
和室・洋室・浴室・土間とそれぞれ考えてみましょう。
和室のコストを抑えるための方法
和室のコストも抑えるためには、畳が床の材料として最適です。
保温性と弾力性にほど良いものがあり、
素足に伝わる感触も快いものがあります。
畳は年間を通して使いやすい素材ですが、
夏の場合はさらにゴザや藤の敷物などを敷いてみましょう。
洋室のコストを抑える場合
洋室は基本的に素足もしくはスリッパを履いて過ごします。
素足で歩く場合には、床材の感触や温もりや弾力性か直に伝わってきます。
冬場で素足では冷たい場合は、スリッパを履けば快適に過ごすことができます。
スリッパを着用していれば、
硬い床を歩く時でもそのスリッパ素材がクッションとして働いてくれます。
絨毯を敷いておくと冬は快適ですが、
スリッパでは歩きにくくなり、また掃除が面倒です。
木の床やコルク仕上げの床は、清掃が簡単なので、
床材としても優れていますが少々コストがかかってしまいます。
そこでパーティクルボードを使えば、和室・洋室にもいずれにも使えますし、
目地に少し工夫を凝らせば面白い仕上がりにもできます。
見た目の綺麗さを重視したいという方に向いているのです。
浴室の床工事をローコスト化する場合
浴室の床は、冬でも素足で触れて
冷たさを感じさせないものにしたいところです。
さらに浴室の床は滑りやすいため、
高齢者でも危険がないようにすることも考えなくてはいけません。
床材の材料としては保湿性があり、
さらに滑りにくいという条件を満たすためにすのこを使うと良いです。
すのこは安くて衛生的であり、浴室のローコスト化に役立ってくれます。
すのこは見栄えが悪いので、
他の部屋の予算を削ってでもグレードを上げたいという時は、
値段が高くなりますが自然石の伊豆石、大谷石などを用いてみましょう。
これらの石は滑りにくく、保温力も備えています。
浴室はもともと面積が狭いので、石を貼る面積は広くはありません。
それでいて1日ある程度の時間を過ごす場所なので、
贅沢に予算を投入しても良いでしょう。
土間の床工事の場合
土間の場合はコンクリート下地に真鍮モルタル金ゴテ仕上げとすると、
安価に済ませることができます。
既製品のコンクリート板の敷き詰めも実用的でしょう。
各部屋の用途に応じて、
床の仕上げを変えることはある意味では趣を楽しめますが、
多種少量の材料使いになるため、
ローコスト家の観点ではあまり望ましいとは言えません。
極端にコストを抑えたいのであれば、玄関浴室は全部モルタル仕上げが良いでしょう。
その他全ての床をパーティクルボードにすれば
二種類の仕上げ材だけで事足りてしまいます。
ローコスト住宅の内壁工事
内壁は建物の内側に面する壁であり、
部屋と部屋とを仕切る間仕切りになります。
内壁が外壁と異なる点は、
内壁は居住性を高める意味での用途ではないという点です。
ただし、鉄筋コンクリートやレンガ積みなどの建物の場合は、
外壁と内壁が一体化しています。
施工にあたってはどの工事も同じですが、
工程が少なくなるほど工期が短縮され、費用も安くなります。
そうした工夫の一環として、
化粧合板などを使うことも考えてみましょう。
そうすると内壁工事は大変シンプルに完了させることができます。
ローコスト住宅の内壁工事の注意点
壁を考える時には、結露の問題は絶対に避けることができません。
結露は湿度と内外の温度差によって生じる現象です。
結露が起きれば一気にカビが生じやすくなってしまいます。
カビが生じやすい環境は、
人間にとっても建物にとっても不衛生となりやすく、決して健康的ではありません。
従って室内にはできるだけ新鮮な空気の流れが入ることが望ましいです。
そして壁の下地となる仕上げ材には保温性と吸湿性が求められます。
その意味では日本で伝統的に用いられてきた、
砂壁の内壁は、吸湿性が非常に高くなっています。
砂壁は施工時に使用した水量は内部に蓄えることが可能であり、
室内の温度に応じて、水分を吸ったり排出したりできます。
壁の仕上げ表面に塗装をしたり、ビニールクロスを貼ると、
空気の流れがここでストップしてしまうので結露を起こしやすくなります。
ローコスト住宅の天井仕上げ
予算に余裕のある建物の天井は、格子天井や竿縁天井といた装飾性を盛り込んだ、
見せるための仕上げが用意されています。
しかし本来天井の役割は、塵や埃の落下を防ぐフタとしての役割なのです。
またたっぷりとした懐のある天井は、断熱性や吸音効果ももたらしてくれます。
ローコスト化を考えるのであれば、
まずは天井本来の機能を持たせることを念頭において考えましょう。
そこで天井には小屋裏床組の懐の補助材として断熱材を用います。
天井の仕上材は、化粧石膏ボードが安くて機能が優れているため、最適です。
どの天井材を用いる時でも、
工程を減らすことは、ローコスト化の鉄則と言えます。
そのため天井板は家に直接取り付けることを考えてみましょう。
天井は意識的に見ない限りは、あまり注目されることはありません。
その意味では床や壁よりも地味でも問題がないものなのです。
そこで仕上げは地味にしておき、
照明器具をアクセントに用いるといった工夫をすれば、
楽しい空間を演出することができます。
吸音性能に優れている、軽くて小さな穴の空いている石膏ボードを使えば、
家の中の防音性を高められ、プライバシーを確保できます。
天井裏の使用を考える
ローコスト住宅といえども、
建築費には坪あたり数十万円かかるものです。
そのためスペースを確保するために、
天井裏も有効活用することを考えてみましょう。
まず2階の小屋裏の天井を張らずに露出させ、
より高くするようにすれば広々とした開放性を楽しめます。
小屋裏の空間利用も検討してみると倉庫などに使いやすいです。
下から見える屋根の下地としては石膏セメント板が素朴で良い材料といえます。
ただしやや重いので、使うポイントには気を配りましょう。
ローコスト住宅の設備を考える
便利なものにお金が必要になるのは、当たり前のことです。
給水や給湯、トイレ、照明器具、冷暖房など住宅の機能を便利にするための設備は、
機能性が高いもの、便利なものほどお金がかかってきます。
また設備にこだわると、その設備が使えなくなった時や、
交換する時にも多額の費用がかかるので、
維持費についても考えなくてはいけません。
ローコスト住宅を建てる上では、
設備面ではある程度の妥協も必要になってきます。
ローコスト住宅の給水を考える
ローコスト住宅を建てるときは、
建物の2階には水周りの設備を作らないことを前提としましょう。
多少不便になりますが、
洗面やトイレは1階にあるだけでも十分に事足ります。
普通の暮らしであれば、
家の中の蛇口の数は5個以内で十分に事足りることでしょう。
ローコスト住宅の給湯面
台所用の給湯設備は小型湯沸かし器で十分です。
使いやすく熱効率も良く、配管工事が不要。
さらに機器の価格も安いので、メンテナンス面でも十分なメリットがあります。
小さなエネルギーでも点火するので、光熱費面で全く無駄がないのです。
浴室には不完全燃焼防止装置のバランス釜を使うと良いでしょう。
浴槽に水を張り、風呂専用の湯沸かし器で沸かすというシンプルな構成の釜です。
冷めたら追い炊きをすることもできますし、操作も非常に簡単。
蛇口をひねればすぐお湯が出るわけではありませんが、
追い焚きのできない給湯タイプよりも水や熱を無駄にせずにすみます。
バランス釜は浴槽と風呂釜を一体化した屋内型、
釜を屋外に出して浴室を広く使えるようにした屋外釜の二つがあります。
また燃料費の節約のため、気候の良い時は日中に貯めておく、
お湯が湧いたら家族が続けて入るようにすれば光熱費の節約も可能です。
ローコスト住宅のトイレ
トイレを和式にするか洋式にするかはコスト的には大きな影響はありません。
単純にデザインの好みや、使用する時の使いやすさで考えて良いでしょう。
また中間タイプとして列車なのに多い汽車便座式があります。
このタイプは肌が直接便器に触れることがなく、使いやすいことが長所と言えます。
トイレは化粧室のように考え、
できるだけ空間的にゆとりあるトイレを作ってみても良いでしょう。
家の中でも最も落ち着ける場所になるかもしれません。
ローコスト住宅の照明器具
照明器具は工務店などが見積もりを作る際には、
建築工事の坪単価に含まれません。
そのため別途費用として計上されることが一般的です。
照明器具の価格は通常坪当たり8,000円程度を見積もっておけば良いでしょう。
つまり30坪程度の家を建てれば、20万円ほどの予算が必要になります。
ローコスト住宅の場合の証明器具選びは、
今は光熱費の安いLEDタイプのものが主流になっています。
しかし趣味的に古いレトロデザインのものを集めてみるのも楽しいかもしれません。
スイッチのオンオフは、シンプルなプルスイッチ方式を選ぶようにしましょう。
照明器具に直接スイッチがついていれば、
壁にスイッチを取り付けずに済むので、工事費を減らせます。
ローコスト住宅の冷暖房設備
冷暖房は、できるだけ自然の恵みを家の中に取り込んで生かすことが
最も安くて健康的に過ごすポイントになります。
暖房を使うときは、
できるだけ安くて移動が楽な石油ファンヒーターや石油ストーブを選びましょう。
臭いも実は、灯油の補給のときと、消火直後のわずかな時間しか起きないので、
実際はそれほど気になるものではありません。
暖房が不要な季節になれば納戸棚にしまっておくことで
室内をスッキリさせることができます。
冷房を取り付ける時は、最も人の集まるリビングのみとしましょう。
人が集まる場所に冷房を行えば、経済効率もよく、
皆が恩恵に預かることができるので、
家族が自然に集まるようになって団欒が進みます。
冷房の熱源は、電気タイプが最も良いといえます。
安全で音も静かだというメリットがあります。
ただし冷房の設置には壁も専用の下地が必要になることが多いです。
湿式の塗壁などには、クーラーの室内機を直接取り付けることが難しいです。
そのため住宅の設計時に、
あらかじめエアコンをつけられるような構造にしておくことが重要です。
ローコスト住宅に関わる諸経費
住宅を建てる時、諸経費は工事費内訳の最後に出てくる項目になっています。
目安としては全ての工事費のおよそ1割というところです。
名目上は工事費以外の費用となっていますが、大まかにその内訳を示すと、
実は大半が請負者側の運営費や利益となっています。
つまり諸経費とは雑費のようなものであり、
例えば工事期間中は人や物が移動することが多くあります。
さらに工事の進行には情報の交換などの作業も必要です。
そのための交通費、通信費などが諸経費に含まれたり、
関係者の打ち合わせに使われる場所代やお茶代などが含まれるのです。
一つ一つ計上する手間を省くために、
諸経費として処理を行う場合が多くなっています。
ローコスト住宅のため、諸経費を節約するには
諸経費は工事価格が下がっていくと、
徐々に工事費の中における諸経費が占める割合が上がっていきます。
同じ重さの建材を輸送するにしても、
その木材が5,000円、輸送のための諸経費が3,000円だとします。
建材自体が5万円になっても輸送費は変わらず3,000円ということが多いので、
良い建材などを使うと諸経費の割合は下がるのです。
諸経費を下げてもらうためには、次のようなことに配慮するようにしましょう。
まず諸経費の割合は請負者側の経営形態によっても大きく変わってきます。
大きな会社に住宅の施工を発注した場合、
その会社には宣伝、営業、管理部門など多くの間接部門が必要となっているので、
その部門を運営するための諸経費がかかることが多いです。
これに対して家族で経営しているような個人事業者、
もしくはそれに準ずるような小規模の会社であれば、
社長が営業、妻が経理や管理などを一括して行い、
間接部門を持っていることが少ないのです。
そのため営業や諸経費がかかりません。
一人二役がこなせる職人ならローコスト住宅の価格をさらに下げられる
諸経費は一般的に、多くの人がその工事に関わるほど必要になってきます。
一人で何役もこなせる職人を雇い、関わる人数を減らしていけば、
一人一役の職人にそれぞれ人件費を支払うのではなく、
一人に対する人件費を増やせます。
そのほうが職人の満足感を高められ、
かつ人件費の総額を下げることができるのです。
つまり、一人二役の担当ができる腕の良い職人を採用すれば、
諸経費や人件費の総額を大きく下げられます。
諸経費は工期が長引くほど、金額が上がる傾向があります。
そのため効率よく人を動かし、施工性を上げていくことが、
全体的なローコスト化につながっていくのです。
無駄のない工程を見極め、施工しやすい季節を選んだり、
職人の配置や使い方を意識して、調整していくようにしましょう。
先の見えない工程を組むことは、
トラブルの原因となり予定よりも多くの時間や人が必要になることがあります。
ポイントとしては
- 適切な段取りによって効率よく人を動かしていく
- 工事に必要な職人を減らしていく
- 施主、設計者、請負者の三者で良く相談し、トラブルを減らす
こういったポイントが
ローコスト住宅の最終的な実現には大きく影響するのです。
ローコスト化を行うということは、
施主が建物を安く購入できるだけではなく、
結果的には請う側にとっても、
スムーズに工事を進められるメリットが有るのです。
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